今年の話題は大学改革。
これは昨年6月、民主党政権下で出された「社会の変革のエンジンとしての大学作り」という副題がついた「大学改革実行プラン」を自民党政権になっても受け継いだ形。
いやそればかりではなく病気を理由に任期途中で首相が辞めた第一次安倍内閣の教育再生会議を引き継ぐ形の第二次安倍内閣の教育再生実行会議でも大学改革が焦点となっている。
すなわち文部科学省が旗振り役となっているというより、政府を挙げて大学改革を推進しているという状況である。
2013年6月6日に日経新聞がトップで「センター試験廃止」を報じた。これが5年後の2018年からという内容だった。
その後、センター試験に代わるものとして複数回レベルごとに実施される達成度テストが考えられていることがわかってきた。
各大学が実施する二次試験で面接などを通して人物評価をするということも提言されたことからマスコミは一斉にあたかも就活のような人物本位で入学が決まるというような報道をして、今回の大学改革の本質を早くも曲げて伝え始めた。
ボランティアが評価されるとか、学力を軽視するとか書いているが、全く本質の議論ができていない。おもしろおかしく書けばいいというような無責任ぶり。いや勉強不足なのだろう。
世界の趨勢は知識詰め込み型の人材養成から、問題発見・解決型の応用力のある人材の養成に移っている。
それは講義のスタイルの変化でもある。一方的な知識伝達型の授業からPBL(プロブレム・ベースト・ラーニング)型のアクティブラーニングに移行している。教授が一方的にしゃべる座学と呼ばれる形式はもはや時代遅れなのだがいまだに日本の高校・大学ではこの座学がほとんど。
社会から求められている人材は、正解がない時代に、納得できる解を見いだせる人なのだ。マニュアルにはないことを判断し決断できる人材でなければ21世紀は生き残れないということなのだ。それが国のリーダーシップを担う人たちはもちろんのこと、現場に出て働いている人に求められているのである。
判断のいらない仕事は機械やコンピュータがとって代わる。仕事がコンピュータに奪われるというのはすでに起こっていることなのだ。
『ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』という本が示す2030年の仕事は、まさに二極化した労働。
教育を初等教育から改革しなければならないところに来ているというのが、今回の大学改革、教育改革の主眼である。
20世紀的な学習観からいかに早く脱局するかがキーとなるが、20世紀に古い教育を受けてきた大人たちにはなかなか理解されない。
大学教授やマスコミ人など、旧教育の中で教育の勝ち組であった人々の考え方を根底から変えなければならないのだから、これは大変である。
全共闘的に「自己否定」を迫らなければならないのだ。「正しいと思っているあなたが一番問題だ!」と。
抵抗もかなりあるだろう。高校の教員もまだ目覚めている人は少ない。大学教員はそもそも改革にあまり関心がない。
とにかくこの一年で道筋は示された感じがしている。
来年は抵抗にあいながらも、どのように地道に説得していくか、この点が注目点。
ソーシャルメディアの広がりは希望だ。
情報の提供とわかっている人、目覚めている人、特に若い世代のネットワークが重要だと考えている。
権威的にあるいは組織的に改革をするより、ボトムアップで改革を突き動かしていかなければならないのだろう。
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